「会社で会議をしてて、どうにも話が噛み合わないな〜」、「あの人と話をするといつもわけのわからない話になってしょうがない・・・」、「建設的な議論がしたいのに何故か話がまとまらない」
こんな悩みを持っている方の参考になるかもしれない話です。
皆さんは会社や学校などで、話をしていて話が通じない人っていますよね。
正直、関わらないで生きるのがベストだけど人生そうはいかない時もあるので対策法を理解したい。。。って悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
こっちがちゃんと理解できるよう、伝わるように噛み砕いて言い回しを変えたり、表現を変えても、伝わらない人ってのは自分の意見を正当化すべく論点をズラしまくって埒が明かないですよね。
「まじ、クソっ!」とイラつきながら、延々会話が通じないので本当に厄介です。
そもそもなんで話が通じないのか?
上で話したように、普段生活をしていてきっと話が通じないって思う場面ってたくさんあると思うのですが、そもそもなんで話が通じないのでしょうか?
僕が思うに「話が通じない」という場面には大きく、以下の3つの場合があるのかなと思います。
1。そもそも言語レベルで話が通じていない場合(片方は日本語だけしか理解できなく、もう片方は英語だけしか理解できないみたいな場合)
2。大人と子供のように、言語処理能力のレベルに大きな開きがある場合
3。「具体」と「抽象」を使い分けて話ができない場合
1や2の場合もあると言えばあるのですが、普段生活をしていて出会う場面は3ではないかと思います。
例えば、会社で業務改善について話し合いをしているシーンを考えてみると、
業務全体を俯瞰して、他の業務との兼ね合いをみて話を進めている人(=業務を抽象化して話をしている人)と、個別の業務の課題点について話をしている人(=具体的な業務について話をしている人)
がバラバラといると議論をしているレイヤーが違っているので話が噛み合わなかったり、まとまらなかったりしますよね。
そこで今回は、3の場合に注目して、「具体」と「抽象」について考えてみたいと思います。
「具体」と「抽象」とは?
そもそも、「具体」と「抽象」とは何かということをまずは考えてみます。
具体=わかりやすい
抽象=わかりにくい
というのが一般的に認知されているこれらの概念の印象ではないでしょうか。つまり、抽象という概念は一般的にはわかりづらく、扱いづらいものというのが一般の認識なのかなと。
でも、このわかりにくいと思われている「抽象」という概念をちゃんと使いこなせないと話って噛み合わないよね、ということです。
具体と抽象と一言で言ってしまうとイメージが掴めないのでもう少し詳しくそれぞれの特徴を説明してみると大きく以下のようになるのではないでしょうか。
具体の特徴
・直接目に見える
・「実体」と直結
・一つ一つの事柄に対して個別に対応
・解釈の自由度が低い
・応用が利かない
抽象の特徴
・直接目に見えない
・「実体」とは一見乖離
・分類して、まとめて対応
・解釈の自由度が高い
・応用が効く
上記を踏まえて初めの3の場合がどうして起きてしまうかを考えてみます。
「具体」と「抽象」を使い分けて話ができない
具体的な話と抽象的な話を使い分けて話ができない人がいると次のような問題が起きてしまいます。
冒頭の業務改善についての話し合いの例を再度みてみると、
業務全体を俯瞰して、他の業務との兼ね合いをみて話を進めている人(=業務を抽象化して話をしている人)と、個別の業務の課題点について話をしている人(=具体的な業務について話をしている人)とでは、上の特徴に当てはめて考えてみると両者は次のような思考をしていることがわかります。
個別の業務の課題点について話をしている人
・直接目に見える→自分が直接的に問題を被っている課題について考えている
・「実体」と直結→実際に課題として露見している部分のみについて考えている
・一つ一つの事柄に対して個別に対応→個別の課題点に対応しようと考えている
・解釈の自由度が低い→課題点について一方向のみの視点で解決しようと考えている
・応用が利かない→仮に課題が解決したとしてもまた別の課題が出た時に応用が効かない
業務を抽象化して話をしている人
・直接目に見えない→直接的に露見している課題点だけでない部分まで含めて考えている
・「実体」とは一見乖離→上に同じ
・分類して、まとめて対応→課題を一方向だけでなく、過去に経験した課題との類似や違いについて考えている
・解釈の自由度が高い→自身の考えだけでなく、他の人の意見などを含めて総合的に考えている
・応用が効く→個別の課題点だけでなく、広い視点で課題解決をしようとしている
つまり、
(個別の業務の課題点について話をしている人の思考範囲)<<<(業務を抽象化して話をしている人の思考範囲)
ということです。これでは、当然、お互いに「なんで話が通じないんだ!」となるのは必須です。
では、どうしたら良いかと言うと、具体と抽象を分けて考えるのではなく、それぞれをその都度行き来して話ができるようになれば言い訳です。
「何を当たり前なことを!」
と思う方も多いかもしれませんが、これ、意外とできていない人多くないですか? むしろ、あなたはできていますか?
かく言う僕も、自分は具体と抽象を使い分けられていると思っていましたが、会社でしばしばここで出したような議論に出会うようになり、どうしたものかと悩んでいました。
そんな時にたまたま見つけて読んだのが次の本です。
具体と抽象 ―世界が変わって見える知性のしくみ
ここでご紹介した「具体」と「抽象」についてこれでもかと言うくらいにわかりやすく解説してくれている名著です。
具体と抽象のそれぞれが持つ特徴について、簡単な具体例や図、漫画などを用いて解説してくれています。職場の人間関係や議論で「どうも噛み合わないなー」、「なぜこの人はこんな考えしかできないんだろう?」と少しでも思う節があればぜひ、一度読んでみてほしいです。