【レビュー】M&Aの実務を小説で学べる『企業買収』を読んでみた感想


ビジネスマンで、M&Aに興味を持っている方や、M&Aという言葉は知っているけど一体どんなものかわからないという方におすすめできる本をご紹介します。

今回ご紹介するのは、木俣貴光著『企業買収~海外事業拡大を目指した会社の660日~』という本です。

ニュースなどで大きな会社が「〇〇という会社を買収した」なんて記事を目にすることは多いかと思いますが、本書はそんな企業の買収(=M&A)に焦点を当てて、実際のM&Aの業務プロセスや買収する側・買収される側それぞれの思惑などを非常に臨場感ある形で解説してくれる実務小説の良著です。

M&Aって何?


まずは、本書の紹介をする前に簡単にM&Aについて解説します。

M&Aとは、「Mergers and Acquisitions(合併と買収)」の略で、簡単に言ってしまえば、2つ以上の企業が一つになったり(合併)、ある企業が他の企業を買ったりすること(買収)です。

M&Aの意味として、企業の合併・買収だけでなく、提携までを含める場合もあります。

M&Aは、企業の事業拡大のために行ったり、企業の成長スピードを高めるために行ったりなど、合併することでのシナジー効果を期待して行われます。

それだけではなく、事業の覇権争いを戦略的に攻略するために将来、脅威となりうる同業他社を取り込むことを目的として行われる場合もあります。

この様に、M&Aは「企業対企業」と非常にスケールの大きいもので、実際のM&Aの過程では、企業の財務状況や成長戦略、人的リソース、企業内の政治争いなど様々な要因が複雑に絡み合って進行していくとてもエキサイティングなものと言えます。

『企業買収』の中身


本書では、架空の東証一部上場の大手食品メーカー(ヨシマル食品)が海外事業拡大を目的として、中堅水産物商社(Wシーフーズ)をM&Aする様子(とその舞台裏)が描かれています。

ある日突然、ヨシマル食品のM&A部署を任された主人公が、実際に買収先を選定し、M&Aを成功させるまでのプロセスを実務と合わせて紹介してくれます。

物語の進展に応じてM&A実務におけるポイントや論点が解説してくれているので、小説でありながらM&A実務の学ぶことができます

筆者の木俣貴光さんは実際ににM&Aを仕事にしており、過去の様々なM&Aで体験した出来事を散りばめているため、物語も明快かつ面白く引き込まれます。

『企業買収』の感想


僕自身、M&Aについての前提知識は全く無い状態で読み進めましたが、M&A業務に出てくる専門用語なども解説を交えて紹介してくれているので特に迷うことなく読み終えることができました。

M&Aというと、「企業が企業を買収!」という大枠だけが先行し、キラキラしたエリートビジネスマンの話で一般の人からしたらどこか遠い話に思えるかもしれないが、実はその中身は被買収側の子会社の粉飾決算、循環取引の発覚、両社社内の人間関係の軋轢、社内政治力学など様々な人ありきの血の通った生々しいものだということを知れた。

今後、M&A業務を携わってみたい方にぜひ、最初の一冊としておすすめしたい本です。

『企業買収』が気になった方に

以上が、本当にざっくりと『企業買収』をご紹介した内容になります。

「もっと詳しく知りたい」、「ちょっと面白そうだから読んでみようかな」と思われた方はぜひ、読んでみてください。

By: amazon.co.jp